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『Detroit: Become Human』評価・感想・レビュー!アドベンチャーゲーム史に残るであろう大傑作

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2018年5月27日 クリア後の感想追記

 

『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』や『BEYOND: Two Souls』といった数々の名作アドベンチャーゲームを手掛けてきた、フランスのゲーム開発会社クアンティック・ドリーム。

 

その完全新作となる『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』が、PS4用ソフトとして2018年5月25日に発売されました。

 

 

元々は、2012年に同社が最新映像技術を示すために公開したデモ映像「Kara」がモチーフになっていて、そこからアイデアが広がり2015年にゲーム開発を発表。

 


Kara - Heavy Rain/Quantic Dream Tech Demo

 

発表から約3年の月日を経て、ついに発売となりました。

 

TGS2017の実物大アンドロイドの展示や、体験版のクオリティの高さから僕も『Detroit: Become Human』の発売を楽しみにしていました。

 

発売日に購入し、10時間ほどプレイしてみたので感想を記したいと思います。

 

※シナリオクリアしたので、クリア後の感想も追記しています。ネタバレなし。

 

 

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『Detroit: Become Human』ってどんなゲーム?

 

3体の異なるアンドロイドの視点で描かれるアドベンチャーゲーム

 

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『Detroit: Become Human(以下「Detroit」)』の舞台となるのは、2038年のアメリカ・デトロイト。

 

人工知能学やロボット工学の技術革新によって「アンドロイド」の存在が当たり前となった、近未来の世界を描いています。

 

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物語は3体の異なるアンドロイドの視点で進行し、それぞれを交互に操作しながら最終的にひとつの大きな物語へと収斂していきます。

 

プレイヤーは幾度となく"選択"に迫られ、何を選ぶかによって物語は複雑に変化していくマルチシナリオアドベンチャーゲームです。

 

捜査する者、革命を起こす者、逃げる者・・・3体のアンドロイドが主人公

 

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『Detroit』の主人公となるのは、3体のアンドロイドです。

 

感情を持ったアンドロイド(変異体)が起こした事件を捜査するために派遣された捜査官「コナー」、とある出来事から人間に反旗を翻し、自由を勝ち取るためにアンドロイドの革命を起こす「マーカス」、人間の女の子を守るために、その女の子とともに逃避行を繰り広げる「カーラ」の3体。

 

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"意志を持ったアンドロイドが暴走する"という一つの大きな物語に対し、3体の異なるアンドロイド視点から物語が展開されていきます。

 

3体の主人公は同一時間軸に存在し、コナーを操作したら次はマーカス、その次はカーラ・・・と操作キャラを順繰りに回していきながら進めていくアドベンチャーゲームです。

 

遊んでみた感想 

 

過去に見たことがないほど、膨大なフローチャートで展開されるシナリオがすごい! 

 

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『Detroit』最大の特徴でもある、プレイヤーの選択次第でさまざまな展開を見せる膨大なシナリオ。

 

いわゆるマルチシナリオ・マルチエンディングのゲームなのですが、僕が過去に体験したことがないほど膨大な数のシナリオ分岐となっています。 

 

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とにかく選択肢の数が多く、シナリオ進行中は逐一選択を迫られます。

 

「敵を倒すか、逃げるのか」「仲間を助けるのか、見捨てるのか」といった重大な決断はもちろん、逃亡中に泊まる場所を見つけるのにも「廃屋を不法占拠する」「廃車で寝る」「モーテルに入る」といった選択があり、何を選んだかによってイベントシーンやその後の展開が変わっていきます。

 

モーテルに泊まるにしてもお金がなければ泊まれないので、「お金を盗むのか」「我慢して野宿するのか」など派生的に選択肢がどんどん広がっていく。

 

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ある登場人物との会話シーンでも、その人の家で事前に家族の写真を見ていれば「家族について聞く」といった選択肢が出ますが、見ていないと聞くことができません。

 

そういった選択の数々が次から次へと出てくるので、物語への没入感はハンパじゃない。

 

さらに本作で特徴的なのは、重要人物が死んだとしてもゲームオーバーにならず、そのまま物語が展開されていくということ。

 

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仲間や敵の重要人物はもちろん、たとえ人公が死んだとしても物語が進行していくところです。

 

3体の主人公のうち誰かが死んでしまったとしても、その人物がいないまま残った主人公たちの物語が展開されていきます。

 

どんな選択を選んだとしても物語が止まることなく、最後まで推進していくというのがすごい。ある意味、これほどシリアスで現実的なシナリオもないかもしれません。

 

公式いわく、「『Detroit』に"正解"のシナリオはない」とも言っています。

 

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「間違った選択肢を選んだら主人公が死んでゲームオーバー」みたいな分かりやすいシナリオなら、たとえ間違っても「まぁやり直せばいいか」くらいに思ってしまうのですが、『Detroit』ではそうはなりません。

 

プレイヤーの選択肢によって重要人物が死んだとしてもそのまま進行してしまうため、一つ一つの決断に対する緊迫感・緊張感が凄まじい。

 

また、選択肢の決断だけでなく、逃げたり戦う場面ではQTE(画面に表示されるボタンを押していく)によるアクション要素もあるので、ボタン操作を間違えれば死んでしまうこともあります。

 

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このQTEの緊張感も、これほど高まるゲームは体験したことがありません・・・。正直心臓に悪い。

 

僕はまだ主人公を死なせたことはありませんが、何度か危ない場面がありました。QTEは突然始まることもあり、一切の油断ができないのも『Detroit』の特徴です。 

 

膨大なシナリオ分岐と、登場人物を死なせてはならないという緊張感。プレイしているうちにどんどん物語に没入していく素晴らしいアドベンチャーゲームだと思います。

 

3体の主人公たちが魅力的!アンドロイドに自然と感情移入できる 

 

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『Detroit』の主人公となる、3体のアンドロイドたち。外見も機能も異なる3体ですが、それぞれに独自の魅力を持っていて、物語を進めていくうちにどんどん感情移入してしまいます。

 

3体のアンドロイドの中でも、僕が特に大好きなのが捜査官コナーです。

 

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コナーは高い知性と機能を持つ最新型のアンドロイドで、アンドロイドとしては初めて警察に協力し事件を捜査する権限を与えられた優秀な人物。

 

いわゆる"真面目な堅物キャラ"なのですが、物語を進めていくうちに自分の中にある「意志」や「感情」といったものに気づき始め、アンドロイドとしての存在意義を問うようになります。

 

普段は真面目で、何でもカッチリ行動するコナーくん。めちゃくちゃ頼りになるキャラなのに、犯行現場の体液サンプルを毎回ペロッと口にいれて分析したり、椅子に座るときは必ず両手を膝の上にのせてチョコンと座ったりする姿が超キュートなんです。

 

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基本的にアンドロイドには感情や意志がないという設定なのですが、こういった妙におかしみのある行動が逐一挿入されるので、思わず親近感が湧いてしまう

 

コナーの相棒となる人間、アンドロイド嫌いで酒浸りの警察官ハンクの存在も素晴らしい。

 

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任務として事件を解決したいコナーと、アンドロイドなんかに協力されて居心地が悪いハンクとの凸凹コンビっぷりがなんとも微笑ましいです。"バディもの"としても楽しいゲームですね。

 

メインストリームとなる物語自体は非常に重たい話なのですが、登場人物のちょっとした動作が思わず笑ってしまういいバランスになっていると思います。

 

1シーンで事情を説明する"映画的な魅せ方"がうまい

 

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『Detroit』はグラフィックの良さも突出しています。リアルなキャラクター描写や背景の作り込みなどはPV等を見て頂ければすぐにわかると思うので省きますが、僕が関心したのは映画的な魅せ方の上手さです。

 

たとえばマーカス編の冒頭で、主人からのおつかいを頼まれたマーカスが、街へ買い物に行くシーン。

 

高層ビルが立ち並ぶ近未来的な街を歩いていると、広場でデモ集会を開いている人間たちと遭遇します。

 

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この人たちはアンドロイドによって職を奪われた失業者たちで、デモによってアンドロイド廃絶を訴えているのです。

 

アンドロイドであるマーカスがその集会の近くを通ると、人間達から因縁をつけられ、押し倒されてしまう。

 

このシーンだけでも、アンドロイドと人間のあいだに根深い問題が生まれているのが一発でわかります。

 

また、別のシーンでは缶ジュースを持った女性が、飲み終わった空き缶を当たり前のようにポイッとそこらに捨ててしまう。

 

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近くの清掃アンドロイドが文句ひとつ言わずにそれを拾い上げて掃除をするのですが、この1シーンで「ああ、人間はアンドロイドを奴隷のように扱っているんだ」「何でもアンドロイドがやってくれるのが当たり前になっているんだな」というのが分かる。

 

こういった1シーン、1カットで事情を説明する映画的な魅せ方が非常にうまいと感じました。

 

物語の随所にこういう細かい描写が散りばめられているため、あれこれと観察や考察をしながら遊ぶのがとても楽しいですね。

 

暴力を選ぶか、対話を選ぶか・・・単純ではない決断を幾度となく迫られる 

 

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『Detroit』では無数の選択肢が次々と登場し、プレイヤーに決断を迫ります。

 

特に、「暴力か対話か」「殺すか見逃すか」という登場人物の生死にかかわる大きな決断は毎回緊張感が高まります。

 

しかもこのゲーム、「いい人でありたいから人は殺さない!」みたいな単純な決断はさせてくれないのも特徴です。

 

たとえば、アンドロイドを解放するために革命軍を率いるマーカスの場合。僕は暴力ではなくずっと対話での革命を選んでいたのですが、あるとき仲間が何人も警察に惨殺され・・・。

 

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その直後にその警察官を殺すかどうかの選択肢が出てきたりすると、「こいつらはもう殺さないとダメかも」と思わず信条が揺らいでしまう場面がありました。

 

それでも報復せずにグッとこらえると、「なぜ報復しなかったんだ!」と仲間たちに責められるし・・・。

 

それ以外にも、「敵を撃ち殺せば味方が助かる」「味方を見捨てないと、自分も他の仲間も助からない」といった、非常に難しい決断を迫られることが何度もあるんです

 

重要人物が死んでしまってもゲームオーバーにならない分、仲間が死んでしまったときはその後に展開されるストーリー中ずっと「ああ、あのとき助けていたらなぁ・・・」と後悔することもしばしば。

 

『Detroit』はかなり意地悪な決断を迫ってくるゲームです。それ故にシナリオに現実味を与え、没入感が生まれていると思います。

 

操作性やカメラワークが悪い場面も目立つ

 

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『Detroit』のシナリオは100点満点の大満足ですが、それ以外のキャラクター操作やカメラワークといった部分では、ちょっと粗が目立つかなと思います。

 

特に、部屋の中など狭い空間になるとそれが顕著に現れます。カメラが変なところで切り替わったりして、「操作しづらいなぁ」と感じることがありました。

 

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また、キャラクターの操作でタッチパッドを使ったり、コントローラーを振ったりする必要があるのですが、これもまたメンドクサイ。

 

登場人物と動きをシンクロさせることで没入感を与えるためなのでしょうが、せっかくシナリオに入り込んでいるときにコントローラーを振ったり、傾けたりといったことを要求されると、逆に集中力が途切れてしまいます。

 

この辺は人によって好みが違うかもしれませんが、僕はどうも邪魔にしか思えませんでした。

 

クリア後追記(ネタバレなし):何度でもやり直したくなるような深い味わい

 

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約15時間ほどプレイして、とりあえず1週目のシナリオをクリアしました。いやぁ、本当にいいゲームだった。

 

終盤になるにつれて、"変異体"事件を捜査するコナー、アンドロイドの革命を起こすマーカス、少女とともに逃げるカーラの3体の物語が交錯していくのですが、話の交わり方も絶妙。

 

本作はプレイヤーの選択によって物語の展開が変化していきます。選択によっては、クライマックスの展開を大きく変えることも可能です。

 

たとえば、人間の味方であるはずのコナーを革命軍側に加えたり、逆にコナーに革命軍を壊滅させたりなど、さまざまな展開を見せる。

 

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プレイヤーが思う、「こうであったらいいのに」「こういう展開だと面白い」というものがほぼそのまま反映されます。

 

僕も中盤あたりから「最終的にこういう結末だったらいいなぁ~」という希望が芽生え、そうなるように進めていきました。

 

ですがそう思い通りにならないのも本作の魅力。クライマックスのある重大な選択肢でミスを犯してしまい、重要人物の一人が死んだままエンディングを迎えてしまいます。

 

その時は「うわあああしまった!!」と頭を抱えてしまったのですが、これはこれでひとつの物語として完結させなければと思い、やり直すことなく最後まで進めました。

 

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死ぬのか生きる残るのか、成功するのか失敗するのかに関わらず、どんな道筋をたどってもちゃんと完結してくれるのがいいですね。

 

それまで自分がしてきた一つ一つの選択が最終的にちゃんと帰結していくと、「ああ、これは自分が作ってきた物語なんだな」という実感が湧きます。

 

クリア後はまた改めてフローチャートからシナリオをやり直すことができます。僕はエンディングを見たあと、すぐにやり直しました。

 

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ただ、一般的なアドベンチャーゲームと違って、『Detroit』ではシナリオをやり直すとその後の展開がいったんリセットされてしまうので注意が必要です。

 

たとえば、中盤のチェックポイントAからやり直したとしたら、もう終盤のチェックポイントから再開することはできません。ふたたびそこまで進行しないといけないので、「チェックポイントAからロードして、次はBをロードして・・・」とシナリオを埋めていくのは不可能。

 

一応展開をリセットせずにやり直すことは可能ですが、その場合はトロフィーに反映されないなどの制約があります。

 

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「見ていないシナリオだけ知りたい!」という人にとっては不便な仕様ですが、「『Detroit』は一本のシナリオとして楽しんでもらいたい」という作り手側の思いなのでしょう。

 

ちなみに、『Detroit』のディレクターであるデヴィッド・ケイジによると、「すべてのシナリオや選択肢を観るには30時間ほどかかる」そうです。

 

まとめ:ゲーム史に残るであろう傑作アドベンチャーゲーム! 

 

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『Detroit: Become Human』は、今後のゲーム史に残るであろう大傑作です。シナリオ分岐の多さ、世界観の作り込みでいえば歴代アドベンチャーゲームのなかでもトップクラスでしょう。

 

銃をバンバン撃ちたいとか、キャラクターを育てて強化したいとか、そういったゲームゲームしたものではありませんが、プレイ後にいつまでも心に留まっているような、非常に味わい深い一本です。

 

特に映画好きなら間違いなくハマると思います。年に一回くらい、こういったアドベンチャーゲームを遊ぶのもいいですね。

 

 

 

 

 

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