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【ネタバレ】『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の感想!"愛と奇妙さ"が溢れるダークファンタジー!

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(出典:映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』オフィシャルサイト

 

『アリス・イン・ワンダーランド』『チャーリーとチョコレート工場』など、想像力豊かな作品を世に送り出してきたティム・バートン監督

 

そんな彼の新たな試みとなる映画、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』を先日鑑賞してきました。

 

実はティム・バートン作品を映画館に観に行くのは初めてのことだったのですが、これがめちゃくちゃ面白かった。彼の紡ぎだす不思議な世界観に、すっかりと魅了されてしまった僕。

 

映画を観てきた感想やレビュー、あらすじなどをご紹介したいと思います。

 

※本記事はネタバレを含みますのでご注意ください。

 

 

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『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』ってどんな映画?

 

基本情報

 

【監督】ティム・バートン
【脚本】ジェーン・ゴールドマン
【原作】ランサム・リグズ(「ハヤブサが守る家」)
【出演】エヴァ・グリーン、エイサ・バターフィールド
【上映時間】127分

 

奇妙な物語をポップなテイストで描くことに定評があるティム・バートン監督の最新作。

 

原作である「ハヤブサが守る家」は、2011年に出版されたダーク・ファンタジー小説です。アメリカの作家ランサム・リグズのデビュー作。

 

デビュー作でこれだけ完成度の高い作品を書き上げたランサムの力量は素晴らしく、ファンタジーらしいワクワクさせるような世界観でありながら、どこかゾッとするテーマも孕んでいる本作は、映像化するにはティム・バートン監督がぴったりです。

 

2011年に原作が出版されてから5年足らずで映画化というのがすごい(アメリカでは2016年公開)。それだけ魅力的な原作ということでしょう。

 

登場人物&キャスト

 

ミス・ペレグリン(エヴァ・グリーン)

 

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奇妙なこどもたちが住む屋敷を守る、不思議な女性。とても厳格で時間やルールに厳しいが心はやさしく、子どもたちからの信頼も厚い。

 

時間を操る特殊な能力を持っていて、その能力を使い、子どもたちと屋敷を外界から守っています。

 

ハヤブサに変身することができる「インブリン」という種族。

 

ジェイク(エイサ・バターフィールド)

 

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本作の主人公。何のとりえもなく、周囲にもうまく馴染めない生活を送っていた内気な少年。

 

大好きだったおじいちゃんが亡くなったことをきっかけに、ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたちが住む屋敷を見つけ、その不思議な世界に巻き込まれていきます。

 

「自分は平凡な人間だ」と思い込んでいますが、実は"ある特殊な能力"が隠されていて・・・。

 

エマ(エラ・パーネル)

 

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本作のヒロイン。ミス・ペレグリンやこどもたちと一緒に屋敷に住んでいる少女で、ジェイクと心惹かれ合う関係。

 

フワフワと風船のように宙に浮く能力を持っており、普段は宙に浮かないよう「鉛の靴」を履いています。

 

イーノック(フィンレー・マクミラン)

 

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最年長の少年。嫉妬深く周囲を寄せ付けない雰囲気があり、突然屋敷に訪れてきたジェイクに対してもキツく当たる。

 

人形や死体を操る能力を持っています。

 

オリーブ(ローレン・マクロスティ)

 

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こどもたちをいつも気にかけているお姉さん気質の性格。イーノックに対しては恋心に近い思いを抱いています。

 

触れたものを温めたり発火させる能力を持っていて、ポッドのお湯を沸かしたり暖炉の火をつけたりするのは彼女の役目。

 

ホレース(ヘイデン・キーラー=ストーン)

 

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読書やラジオ、映画が大好きな少年。いつもスーツを着ていて、子どもらしからぬ紳士的なふるまいをします。

 

予知夢を見ることができ、見た夢をスクリーンに投影させることもできる。

 

ブロンウィン(ピクシー・デイヴィス)

 

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最年少の少女。しっかり者な性格で、何事にも一生懸命。ヴィクターというお兄さんがいます。

 

小柄ながら、大人数人分にもなる怪力の持ち主。

 

フィオナ(ジョージア・ペンバートン)

 

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おさげが可愛らしい少女。ミス・ペレグリンやみんなのお手伝いを積極的にこなす、責任感と思いやりのある女の子です。

 

あらゆる植物を急速に成長させる能力を持っています。

 

ミラード(キャメロン・キング)

 

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いたずら好きで、いつもみんなを楽しませているムードメーカー。俗に言う「透明人間」で、服を着てないと周囲から姿を認識することができません。

 

ユーモアたっぷりの愛らしいキャラクターです。 

 

クレア(ラフィエラ・チャップマン) 

 

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恥ずかしがり屋な女の子。口数は少ないですがいつも周りのみんなを気にかけています。

 

後頭部に"大きな口"があって、そこから食べ物をムシャムシャと食べることが可能。

 

ヒュー(マイロ・パーカー)

 

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やんちゃな男の子。落ちつきがないところがあるのが玉にキズ。

 

体の中に蜂を飼っていて、自由自在に操ることができる。

 

双子(ジョセフ&トーマス・オッドウェル) 

 

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マスクで顔をすっぽり覆い、いつも一緒に行動している双子の男の子たち。無口ですが外で遊ぶことが大好き。 

 

マスクの下には恐ろしい目が隠れており、その目で見つめられるとたちまち石になってしまいます。

 

バロン(サミュエル・L・ジャクソン) 

 

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本作の敵。邪悪な異能者「ホローガスト」を率いるリーダーで、不老不死の力を得るためにミス・ペレグリンと子どもたちを捕まえようとします。

 

頭に思い描いただけでどんな人にでも変身できる能力を持っていて、それを使い子どもたちに近づいてくるしたたかな男。 

 

あらすじ(ネタバレあり)

 

主人公ジェイクと大好きだった祖父

 

フロリダで生まれ育ったジェイク・ポートマンは、周囲になじめない内気な少年。ジェイクの唯一の理解者は、幼いころから胸がわくわくするような冒険話を聞かせてくれた変わり者の祖父エイブだった。

 

ある日、エイブが電話の向こうで激しく取り乱していることを心配したジェイクは、英部が自宅の裏の森で倒れているのを発見する。

 

「早くここから離れろ・・・島へ行くんだ。ワシの言うとおりにしろ。」

 

エイブは愛する孫にそうつぶやいて息絶え、ジェイクはその森でこの世のものとは思えない巨大で不気味な影を目撃した。

 

"奇妙な子どもたち"が住む小島へ

 

大好きな祖父の死にショックを受けたジェイクは、それ以来、昔、祖父からよく聞かされたイギリス・ウェールズの小島の児童保護施設にまつわる不思議な話に取りつかれるようになる。

 

保護施設には特異な能力を持った"奇妙なこどもたち"とその母親のような存在のミス・ペレグリンがいて、かつては英部もそこでモンスターたちと戦ったというのだ。

 

誰もその話を信用してくれなかったが、誕生日に祖父の遺品の詩集を受け取ったジェイクは、その中にミス・ペレグリンからのメッセージを発見する。

 

精神科医ゴランの勧めもあり、ジェイクはかつてエイブが暮らしたことがあるイギリス・ウェールズのケルン島を訪ねることになった。

 

ミス・ペレグリン、そして奇妙なこどもたちとの出会い

 

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父のフランクリンに連れられ、はるばるケルン島にやってきたジェイクは、さっそく現地で探検を開始する。

 

そして偶然にも別世界への入り口を見つけ、美しい庭園に囲まれた屋敷にたどり着く。そこにはエイブが話していた通り、宙に浮かぶことができたり、ものすごい怪力の持ち主だったり、体が透明だったりする"奇妙なこどもたち"が幸せそうに暮らしていたのだ。

 

そしてついに、この屋敷の主人のミス・ペレグリンと対面したジェイクは、驚くべき秘密を聞かされる。

 

鳥に変身することができて、時間を自由に操れる"インブリン"という種族であるミス・ペレグリンは、戦争による爆撃からこどもたちを守るために1943年9月3日を繰り返す"ループ"を作り、永遠の平和を保っているというのだ。

 

屋敷に迫る脅威、バロンとホロ―ガスト

 

しかし、ジェイクが屋敷で"奇妙なこどもたち"と過ごす夢のような時間は長くは続かなかった。不死のパワーを得るためにこどもたちの命を狙う邪悪な敵バロンと、祖父が話していたモンスター、ホローガストたちが屋敷に忍び寄ってきたのだ。

 

刻一刻と危険が迫るなか、ジェイクは屋敷にとどまるべきか、現実世界に戻るかの選択を迫られる。

 

だがやがて、特殊自分には、エイブと同様の秘められたな"能力"があり、ミス・ペレグリンやこどもたちが、その力を必要としていることに気づくのだった。

 

そんな時、バロンたちによって、ミス・ペレグリンは捕らわれの身となってしまう。

 

ジェイクとこどもたち、そしてもうひとりのインブリンであるミス・アヴォセットらは、それぞれの能力を駆使して力を合わせ、想像を絶する過酷な試練に立ち向かっていく・・・。

 

(公式パンフレットより)

 

感想&レビュー

 

ティム・バートン節が冴えわたる、ダークな世界観に惹き込まれた!

 

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近年のティム・バートン作品は『アリス・イン・ワンダーランド』や『チャーリーとチョコレート工場』 といった、ポップなファンタジー映画の印象がありますが、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』はかなり残酷でダークな設定の物語です。

 

本作の敵は「こどもたちの目玉を食べることで不老不死の力を得ようとする怪物(ホローガスト)」なのですが、こいつらがめちゃくちゃ怖い。

 

のっぺらぼうな顔で近づき、口からウネウネと生えている触手で次々と襲い掛かってくる怪物の姿は、さながらバイオハザードのよう。

 

怪物の目的はこどもたちを「殺すこと」なので、目的がハッキリしている分、襲いかかる描写も相当に迫力があります。見る人が見ると「倫理的にどうなんだ!?」と声を荒げそうな話。

 

しかしそういったハッキリとした描写が物語全体の輪郭をクッキリさせ、観ている側を惹き込む力を持つのです。 

 

残酷な話をただ怖いだけで終わらせず、シュルレアリスムな描き方とユーモアを織り交ぜて作り上げるティム・バートンの力はさすが。こういう映画は十八番と言えるでしょう。

 

『アリス~』や『チャーリー~』のような明るいファンタジー映画を期待している人は観ない方がいいです。逆に、昔のティム・バートン作品である『スリーピー・ホロウ』が好きな人にはバッチリハマる映画。

 

"異端者"を排斥する残酷な世界は、現実とのリンクを感じる

 

ミス・ペレグリンは不思議な能力を持った子どもたち(=異端者)を、それを認めようとしない外界から守っているのですが、この表現には現実世界との強いリンクを感じます。

 

魔女狩りやユダヤ人迫害など、いつの時代も異端者は恐れられ排除されてしまう。本作もそんな残酷な世界をテーマに扱っていて、非常に重たく考えさせられるシナリオになっているのです。

 

ティム・バートン自身、「幼少期のころから周囲にうまく馴染めないでいたため、こういった素材には非常に興味を惹かれる」とインタビューで答えています。

 

迫害や差別といったテーマで映画を作るのはとても難しいのですが、ティム自身も少なからずそういう経験があるので、ここまで魅力的な映画に仕上げられる。

 

難解でセンシティブなテーマを、本当に上手く扱っています。

 

ミス・ペレグリンの母性に感動 

 

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僕は事前情報を一切入れずに映画を観に行ったのですが、観るまでは「ミス・ペレグリンは千と千尋の湯婆婆的なキャラクターで、けっこう悪いやつなのでは」と勝手に思い込んでいました。

 

しかし実際に観てみるとまったく違ったキャラクター。子どもたちを守る母性と責任感に溢れた女性で、とても魅力的な人物でした。

 

ミス・ペレグリンと子どもたちは血縁関係はないものの、絆の深さは実の親子以上のものを感じます。

 

序~中盤まではミス・ペレグリンが子どもたちを外界から守る描写が続くのですが、終盤になると立場が逆転。「これまで守られる側だった子どもたちが力を合わせてミス・ペレグリンを救い出す」という展開が非常に感動的で、ミス・ペレグリンと子どもたちとの絆の深さを感じるのです。

 

ミス・ペレグリンを演じているエヴァ・グリーンが本当に素晴らしい。厳格かつ理知的でありながら子どもたちへの愛情にあふれている彼女の姿を、ピタリとうまく演じています。

 

エヴァ・グリーンとティム・バートンは『ダーク・シャドウ』でも組んでいますが、そちらも素晴らしかった。ティムの描く世界観によく溶け込んでいます。

 

ジョニー・デップのように、今後のティム・バートン映画の定番キャストに食い込んでくるかもしれません。

 

特殊な能力だけでなく、子どもたちの"個性"が上手に描かれている!

 

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本作に登場する子どもたちはそれぞれに不思議な能力を持っています。浮遊、怪力、透明、予知夢等々、どれも個性的な能力です。

 

しかしどのキャラクターも「ただの能力者」というだけでなく、個々の性格や背景の描写も非常に細かく表現されているのがこの映画のすごいところ。

 

子どもたちが庭で遊ぶシーンがあるのですが、サッカーで遊ぶやんちゃな子もいればシーソーで仲良く楽しむ子がいたり、木陰で読書する子も。そのワンシーンだけで「この子はこういうタイプの性格なのか」というのが一発でわかるようになっている。

 

ミス・ペレグリンのお手伝いをするシーンやみんなで食事をするシーンにもそういった"個々の性格"が現れる描写がふんだんに盛り込まれています。

 

シリーズ物や連続ドラマならまだしも、単発の映画でこれだけのキャラクターを登場させ、しっかりと個性を描き切ったティム・バートンはさすがです。

 

まとめ 

 

近年のティム・バートン作品とはすこし毛色が異なるので、「明るく楽しいファンタジー映画が観たい!」という人は観ない方がいいでしょう。

 

しかし「怖いだけ、暗いだけ」では決して終わらない、ティム・バートンらしいポップでユーモラスな場面もたくさん登場します。

 

すこしの覚悟と勇気を持って、ぜひぜひ観ていただきたい作品です。 

 

 

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