シミュレーションRPGの草分け的な存在ともいえる大人気シリーズ『ファイアーエムブレム』。その最新作『ファイアーエムブレム 風花雪月』がNintendo Switch用ソフトとして、2019年7月26日に発売されました。
『ファイアーエムブレム』の新作が発売されるのは、2017年に3DSで発売された『ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王』以来、据え置き機で発売されるのは2007年にWiiで発売された『ファイアーエムブレム 暁の女神』以来、およそ12年ぶりとなります。
僕自身、『ファイアーエムブレム』は「ものすごく熱心なファン!」というわけではないのですが、GBAの『封印の剣』で出会ってから、2012年の『覚醒』まではほぼ毎作プレイしてきました。
久しぶりの据え置き機エムブレムということで、個人的な期待値もMAXだった本作。
今回は、『ファイアーエムブレム 風花雪月』をプレイした感想についてお伝えいたします。
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『ファイアーエムブレム 風花雪月』ってどんなゲーム?
『ファイアーエムブレム 風花雪月』は、剣士や騎馬、弓兵などの「ユニット」をマップ上に配置して、それぞれを動かしながら盤面を制圧していくシミュレーションRPGシリーズの最新作です。
本作の舞台となるのは、「セイロス教」と呼ばれる宗教を信じる人々が暮らす大地「フォドラ」。
とあるきっかけでセイロス教の総本山である「ガルグ=マク大修道院」に教師として赴任することとなった主人公は、「黒鷲の学級(アドラークラッセ)」「青獅子の学級(ルーヴェンクラッセ)」「金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)」という3つの学級の生徒たちとともに、学び成長していきます。
『風花雪月』は二部構成の物語となっていて、前半は「士官学校編」で学園生活を楽しみながら課題を攻略していき、後半は5年後の世界で戦乱を戦いぬく「戦争編」が楽しめます。
3つの学級のうちどれを選ぶかによって、その後の展開が大きく変わっていくのも本作の特徴です。
『ファイアーエムブレム 風花雪月』をプレイした感想
二部構成のストーリーが素晴らしい!後半に行くにつれて、どんどん盛り上がってくる
『風花雪月』最大の特徴ともいえる、二部構成のストーリー。僕は"物語内でキャラクターの年齢が上がる系の話"が大好きなので(『ワンピース』とか)、事前情報で「二部は5年後の世界が楽しめる」と聞いた時には、それだけでテンションがあがりました。
実際に遊んでみると、これが一部も二部も、どちらも大変すばらしいストーリーでした。
前半の「士官学校編」では、『ハリーポッター』や『僕のヒーローアカデミア』のような、"学園バトルモノ"が楽しめます。
「授業→成長→課題出撃(バトル)→授業…」というサイクルをぐるぐる回していきながら、キャラクターたちがどんどん成長していく様子を見られるのが本当に楽しい。
1つの学級あたり8人くらい生徒がいて、最初はキャラクターの多さに「覚えきれるか…?」と心配になったのですが、一部の終盤あたりに来ると、すっかり各生徒たちの性格や背景を把握できていました。まさに、1年間ともに学園生活を過ごしたような感覚になれます。
そして、5年後の「戦争編」へ。
「士官学校編」では学園モノならではの"キャッキャ感"があったのですが、「戦争編」では一気にシリアス方向へ。このギャップも素晴らしい。
キャラクターたちの外見も中身も成長し、逞しくなった生徒たちともに戦場へ。
すでに「士官学校編」で主人公と生徒たちのあいだに信頼関係がバッチリできているので、厳しい戦場に出ても"背中を任せられる信頼関係"がセリフの端々からうかがえるのも熱い。
終盤のストーリー展開も、これまでの『ファイアーエムブレム』シリーズにはないほど盛り上がり、個人的には過去作を通じて一番楽しめたストーリーでした。
3つの学級それぞれにきちんとしたストーリーが用意されている
本作ではストーリーの最初に、3つの学級からどのクラスを受け持つかを選ぶことができます。
ただ使えるキャラクターが変わるだけでなく、選んだ学級によってその後のストーリー展開もしっかりと変化していくのが、「よく作りこまれているなぁ」と感心しました(特に、一部終盤の"ある展開"には度肝を抜かれました)。
ちなみに、僕が最初に選んだのは、「金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)」。いわゆる黄色組です。
「金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)」はレスター諸侯同盟の次期盟主である、クロードが級長を務めます。
ほかの学級は帝国や王国出身者が多く、上下関係が厳しい面もあるのですが、「金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)」は王を戴かない共同体として動いているため、どこかフラットで人間関係の風通しのよさを感じて選びました。
選んだ学級によってストーリー展開はもちろん、途中に挟み込まれるイベントや出来事に対しての反応が異なるのも面白い。
また、メインストーリーだけでなく、各キャラクターごとの「外伝(サブストーリーのようなもの)」が豊富なのもいいですね。
「戦技」や「天刻の拍動」などのおかげで、戦闘難易度はかなり下がっている
本作のバトルは、過去作に比べてもかなりラクに楽しめる印象があります。
とにかく戦闘中にできることが多く、通常攻撃よりも火力が高い「戦技」や、大ダメージや特殊な効果を与えることができる「計略」、失敗したときに時間を戻して好きなところからやり直せる「天刻の拍動」などがあったりなど、全体的な難易度はかなり低め。
難易度選択ができるので、『FE』シリーズ経験者は「クラシック(一度死んだユニットは生き返らない)」×「ハード」でプレイすると、ちょうどいい緊張感が味わえるかもしれません。
逆に、「カジュアル」×「ノーマル」でプレイしてしまうと、簡単にクリアできてしまうので歯ごたえがないかも。
フリークエストでいくらでもレベル上げができてしまうこともあり、あまり強化しすぎると本当にあっさり終わってしまいます。
「フリークエストでは強化しない」「天刻の拍動は使わない」など、自分である程度縛りを設けないと、ごり押しで簡単に攻略できてしまうのが難点。
また、一度設定した難易度はあとから変更できないため(ハード→ノーマルはできるのですが、ノーマル→ハードはできない)、最初に「カジュアル×ノーマル」で選んでしまうとけっこう後悔します(僕がそうでした…)。
やりこみ度はシリーズ最高!成長システムが面白い
本作の成長システムは、非常に充実度が高いです。
レベルアップによるステータス上昇や「クラスチェンジ」による強化など、これまでにもあった基本の要素はもちろん、剣や斧、弓など各武器ごとの「技能レベル」や、「兵種レベル」を育ててスキルや戦技を習得していく面白さも。
それぞれのキャラクターごとに得意不得意はあるものの、時間をかけさえすれば、どのキャラもすべての兵種や武器を使うことができるのもいいですね。
極端な話、全員「パラディン」にして騎馬隊を組んだり、「ビショップ」と「ダークビショップ」だけの魔法使い部隊を構成したりなど、育成や人員構成の自由度はこれまで以上に高いです。
戦闘だけでなく、授業によってスキルを伸ばせるのも面白い。このあたりは、学園モノである本作のベースと、うまくマッチしていると思います。
自由に散策できる「アドベンチャーパート」もしっかり楽しい!
学園内を自由に移動して、キャラクターたちと交流を深めることができるアドベンチャーパートもなかなか面白い。
僕が感心したのは、メインストーリーやサイドクエストだけでなく、普段の会話でもキャラクターたちにボイスがついていること。
フルボイスのゲームも珍しくなくなりましたが、これだけ登場人物が多いゲームで、雑談してもきちんとボイスがついているのは素晴らしいですね。
ストーリー進行度に応じてキャラクターたちのセリフも変わるため、飽きが来ないのもいい。
学園内は広いのですが、ファストトラベルも使えるためストレスなし。
ロード時間もえらく短く、「ファストトラベルはするたびにロード時間が長いので、移動したほうがラク」なんてこともありません。
会話で交流を深める以外にも、釣りや食事、合唱、大会などを通じてキャラクターとの支援レベルを上げられます。
面倒くさいことはスキップできる、自由度の高さ
『ファイアーエムブレム』シリーズといえば、戦略性の高い戦闘パートがメインです。
本作のように、アドベンチャーパート部分が増えると、アドベンチャーパートは面倒くさい」「とにかく戦いたい」という人がいるかと思います。
『風花雪月』が素晴らしいのは、面倒くさいと思ったらアドベンチャーパートをいつでもスキップできることです。
自由行動日になると、学園内を探索できる「散策」や、サイドクエストに挑める「出撃」、授業を受けさせらる「講習」、生徒たちのやる気をUPさせられる「休養」から行動を選ぶことができます。
アドベンチャーパートを楽しみたい人は「散策」を選べばいいし、能力を上げたければ「講習」を受けることも。
また、「とにかくメインストーリーを進めたい!」という人は、スキップして次の日程に進むこともできちゃいます。
プレイヤーのスタイルに応じて、さまざまな遊び方が用意されているのも『風花雪月』の魅力ですね。ストレスなく遊べるような工夫がふんだんに盛り込まれています。
まとめ:シリーズの集大成ともいえる完璧な出来!
『ファイアーエムブレム 風花雪月』は、これまでのシリーズの良いとこ取りをしたような、ほとんど完璧ともいえるクオリティの作品にしあがっています。
シリーズファンはもちろん、全体の難易度も低く遊びやすいため、これまで『ファイアーエムブレム』を遊んだことがない初心者の方にもおすすめです。
日本製シミュレーションRPGの決定版的な作品といえるので、興味がある方はぜひ一度遊んでみてください。
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