7月29日、庵野秀明総監督の『シン・ゴジラ』が公開されました。
今作はゴジラシリーズの第29作目にあたる作品で、前作の『FINAL WARS』から約12年ぶりとなる新作です。
公開翌日である本日、朝イチで映画館に向かって『シン・ゴジラ』を鑑賞してきましたので今回はその感想を書きたいと思います。
『シン・ゴジラ』とは?
あらすじ
東京湾羽田沖の東京湾アクアラインで原因不明の崩落事故が発生、これを受けて官邸に大河内清次内閣総理大臣をはじめとする各幕僚が招集され、緊急会議が開かれた。
会議の中で「事故の原因は地震か海底火山の噴火といった自然災害によるもの」という推測が立てられ、その方向で結論が付けられようとしていた。たった一人の男を除いては。その男の名は、内閣官房副長官を務める矢口蘭堂。彼だけは「海底に生息する巨大な生物」によるものが原因とする可能性を示唆した。だが、そのあまりにも突飛で非現実的な発想に総理大臣補佐官の赤坂秀樹を含めた他の閣僚は当然、信じる筈がなく、それを笑って否定した。
だが、それから間もなくして現実のものとなってしまう。神奈川県沖の海中より突如、身長100m以上の巨大生物が出現、巨大生物は同県の鎌倉市に上陸し、甚大な被害を出しながら進行を開始する。この未曾有の事態に人々は大混乱に陥り、これを見た政府は緊急対策本部を設置、巨大生物を害獣として扱いその駆除という名目で自衛隊に出動命令を下す。
物語の始まりは「ある日突然、なんの前触れもなく謎の巨大生物が現れる」というもの。
しかし今までのゴジラシリーズと違い、「なぜ?どうして?」という部分にはあまり触れられていないのが今作のひとつの特徴です。
過去のゴジラシリーズでは他の怪獣が地上に降りたって、それを倒すためにゴジラも現れるというのが王道でした。
今作はそういうのを一切抜きにして、「地上によくわからない巨大生物が現れたら政府や民間人はどのような行動を取るのか?」というシンプルな構図。
他に怪獣が出てこないことによって、政府や自衛隊、民間人などの動きにリアリティを与えています。
執筆段階から防衛省や自衛隊に協力を依頼し、「実際に首都に巨大生物が現れたら、どのような対応を取るのか?」という部分を綿密に練ったそうです。
政府や自衛隊マニアの人が観たらまだまだ粗があるのかもしれませんが、素人の僕にはとても現実感の強い作品に見受けられました。
プロデューサーの佐藤善宏さんは、本作について「完成した映画でファンタジーなのはゴジラだけ」と語っているそうです。
一つの作品に対して、ここまで真摯に向き合って製作されていると観ている側も物語に入り込めるのでその姿勢は素晴らしいと思います。
総監督はエヴァの庵野秀明さん
『シン・ゴジラ』の総監督・脚本は「エヴァンゲリオン」でおなじみの庵野秀明さんです。また、監督・特技監督には樋口真嗣さんが起用されています。
このタッグは、『エヴァンゲリオン新劇場版:Q』と同時に公開された短編特撮映画『巨神兵東京に現わる』の布陣です。
『巨神兵東京に現わる』の評価が非常に高く、それが起用の決め手となったそう。
僕もエヴァQを公開初日に観に行ったとき、なんの事前情報も入れてなかったため突然実写映画が始まったときは「庵野さんまたおかしなことやってるな・・・」と勝手に勘違いしてました。
しかし、いざ観始めるとこれがものすごい出来なのです。
あれがあったおかげで、「総監督・脚本 庵野秀明」と発表があったときも素直に受け入れることができました。
キャストがとにかく豪華!
この映画、キャストがえげつないくらい豪華です。
主演は『セカンドバージン』や『家政婦のミタ』にも出演した長谷川博己さん。僕は長谷川さんが主演されていた『鈴木先生』や『雲の階段』が大好きなので、このキャスティングを聞いたとき飛び上がるほど喜んでしまいました。
また、石原さとみさんや竹野内豊さん、大杉漣さんや平泉成さんなど脇を固める俳優さんも素晴らしい。
で、ここまではわかるんです。
本作のすごいところはここからで、主演クラスや超ベテランクラスがバンバンちょい役で出演しています。
消防隊員に小出恵介さん、自衛隊員に鶴見辰吾さんや斎藤工さん、お茶を運ぶ官邸職員に片桐はいりさんなど枚挙にいとまがありません。
その誰もがほとんど1シーンのみの出演で、キャストを見るだけでも「この映画、いったいいくらかかってるんだ・・・」と心配になるほど。
キャスト数は総勢328名にも上るそうです。
キャスト表を眺めてるだけでも楽しめちゃいますね。
個人的には、なんといってもマフィア梶田さんの起用が驚きました。
思っていた以上に画面に登場するので、知ってる人は絶対にニヤリとできると思います。
観てきた感想
個人的には『ハリウッド版 新ゴジラ』を越えた!
近年のゴジラシリーズで評価の高かった作品といえば、2014年公開の『ハリウッド版 新ゴジラ(正式タイトル:GODZILLA ゴジラ)』でしょう。
1998年にハリウッドで公開された「なんちゃってゴジラ」の汚名返上を果たした2014年版ですが、本作はそれを凌駕しています。
ゴジラが登場するシーンの映像はとにかく迫力があり、また、ゴジラシリーズの特徴である伊福部昭さんの音楽が作中で流れてきたときは「日本のゴジラが帰ってきた!」とテンション上がりまくりです。
ゴジラの"描き方"が斬新
日本版初のフルCGで描かれている本作のゴジラですが、それだけでなくすべての"描き方"が斬新と言えます。
たとえば、今回のゴジラは物語の半分くらいしか(もしかしたらそれ以下かも?)画面に登場してきません。
それ以外のパートでは、国や国民を守るために動く政府や自衛隊の様子が描かれています。
だからと言って退屈することは決して無いのがすごいところ。シナリオとキャストの豪華さが相まって、ただの特撮映画としてだけでなくひとつのドラマとしてしっかりと観ることができます。
また、ゴジラの代名詞ともいえる口から吐く光線。
本作のゴジラは口からだけでなく、なんと背中やしっぽからも光線を出すことができるのです。
物語に登場する人たちはもちろん、観ている僕もゴジラがそんなことできるなんて知らなかったので登場人物と一緒に驚いてしまいました。
背中から多数の光線を出してミサイルを打ち落としたり、口と尻尾両方から同時に光線を吐くゴジラの様子はまさに圧巻です。
リアリティが虚構を際立たせる
先に述べたように、今作は実際の政府や自衛隊の協力があるおかげでそれらの描き方が大変リアルです。
政府内に多数の部署や派閥があり、未曽有の危機に陥った国の重要事項をなかなか決定できない様子や自衛隊の登場兵器など、そのリアリティさは日本の映画史に残るほどかもしれません。
また、登場する首都圏各所の土地も作品の現実感を強めます。
鎌倉や銀座、新橋、朝霞や武蔵小杉など首都圏で暮らす人間なら自分が行ったことのある土地が必ず登場するはずです。
僕も、以前住んでいたり仕事で訪れた場所が何度も登場して「おお!ここにゴジラが!」とはしゃいでしまいました。
"虚構の塊"であるゴジラ以外の部分を「これでもか!」というほどリアルに作り上げることで、「実際に首都圏にゴジラが現れたらこうなるんだろうな・・・」とその"虚構(ゴジラ)"を際立たせているのです。
観て損はなし!というより観るべき!
はっきり言って想像以上の出来です今回のゴジラ。
ここまでの怪獣映画を日本で作り上げることができるというのは、今後の日本の映画業界にとって大きな一歩を示せたかと思います。
もしかしたら庵野さんがゴジラを作るのはこれが最初で最後なのかもしれません。
しかし、できることならまたこの布陣でゴジラを製作してくれたらなぁというのが一ファンとしての思いです。
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